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甘口ワインの理由1. ぶどうを遅摘みしてるから
甘口ワインを醸造するにはいくつか方法がありますが、葡萄をあえて遅い時期に摘み取る方法がまず挙げられます。葡萄は収穫時期を過ぎるとどんどん果実内部の水分が抜け、自然に干し葡萄のように干からびてしまうのですが、この時、葡萄の内部には糖分が凝縮され甘い葡萄に変化。
この干し葡萄状態になった甘い葡萄からワインを醸造すると、自然に糖分の多い甘いデザートワインが生まれるのです。干し葡萄にするには葡萄をそのまま放置して水分を抜いてしまう方法や、一度葡萄を収穫して藁の上に並べ、干し葡萄にする方法があります。
葡萄の遅摘みですが、葡萄をそのまま放置しているとどうしても野生動物や野鳥に狙われやすくなるため(動物も甘い葡萄は大好きです)ワイナリーによっては遅摘み葡萄が収穫出来ない事も。遅摘み葡萄を収穫するには、動物や野鳥対策が必要なので手間が掛かるのです。
2. 貴腐ぶどうでワインを作るから
葡萄を干し葡萄に変えるには、時間を掛けて自然に葡萄内部から水分を飛ばす方法以外にも「貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)」を利用する方法があります。
貴腐菌が付いた葡萄は葡萄の皮を菌が破ってしまうため、その無数の穴から果実内部の水分が蒸発。水分が飛ぶと糖分が凝縮されて甘みが増し、ワイン醸造すると甘口ワインが出来上がります。
貴腐菌の付いた葡萄も干からびた葡萄も、どちらも干上がった葡萄を使うのは同じです。ただ貴腐菌の場合は、菌の持つ独特の風味が醸し出されますが、遅摘みの葡萄(自然に干からびた葡萄)には独自の香りや風味はありません。
貴腐菌が葡萄に繁殖するにはある一定の気象条件が必要で、フランスやチリ、ドイツなど限られたエリアでなければ貴腐ワインは醸造出来ないと言われています。貴腐ワインが貴重で高価なのはそのためです。ワイン1本を醸造するのに葡萄の木1本が必要とも言われていて、価格を抑えるために貴腐葡萄と遅摘みの葡萄を混ぜるワイナリーもあります。
3. ワインの発酵を途中で止めるから
葡萄がアルコールに変化するのは、糖を二酸化炭素とアルコールに分解する酵母の働きによるもの。糖分がなければ酵素は働かずアルコールにはなりません。その点、お酒の原料になる葡萄やリンゴ、杏などには糖分がたっぷり含まれているので、これら果実に酵母が付着するだけで自然にワインやリンゴ酒、杏酒になります。
酵母は糖分を二酸化炭素とアルコールに分解しますが、発酵を途中で止めると糖分が多く残るので甘いワインになります。また発酵途中と言う事でアルコール度数もあまり高くなりません。低アルコールで甘く飲みやすいとなればお酒の苦手な女性でも飲みやすくなりますね。
この発酵の深度をコントロールする方法は貴腐葡萄を使ったり遅摘み葡萄を使うなどの手間が掛からないため、コストも安く購入しやすい甘口ワインになります。